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LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ・乳酸脱水素酵素)高い時は何を考える?【血液検査】

LDH

血液データが前回値と比べて全然違うぞ。特にLDHが上昇してる!ASTとカリウムも高いし、これから何が考えられるんだろう?

こんな疑問を解決します。

こんにちは、臨床検査技師のユキフルです。

今回の記事では、LDHについて紹介します。

この記事でわかること
  • 検査の目的
  • 高値・低値で考えられること
  • 注意点
目次

LDHとはどんな検査項目?

LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ・乳酸脱水素酵素)は、体内のブドウ糖がエネルギーに変化する時に働く酵素です。

全身の細胞に存在し、特に肝臓、腎臓、血液、骨、骨格筋がん細胞に多く含まれます。これらの臓器に障害が起こり細胞が壊された時に上昇します。(逸脱酵素)

ほとんどの臓器に存在するので臓器特異性は低いです。そのため、他の検査と併用して考えます。

また、LDHには5種類のアイソザイムが存在するのですが、このLDHのアイソザイムを測定することで異常のある臓器をある程度推測できます。

LDHアイソザイムゴレンジャー

〈LDHアイソザイムごとの異常が疑われる臓器・組織〉

LDHアイソザイム異常が疑われる臓器・組織
LDH1心筋、腎臓、赤血球
LDH2心筋、腎臓、赤血球、リンパ球
LDH3骨格筋、顆粒球
LDH4肺、肝臓、骨格筋
LDH5肺、肝臓、骨格筋

その他のポイント

  • 悪性腫瘍の組織でLDHが過剰産生されるので、悪性腫瘍(白血病など)のマーカーになる
    ⇒LDH単独の著明な上昇では悪性腫瘍を疑う
  • 心筋梗塞
    発症後12~24時間で上昇し始める
    30~60時間でピークに達する
    4~10日で基準値に戻る
  • LDHは赤血球中に多く含まれるので溶血により高値を示す(溶血で高値を示す項目=AST、K、LDH)
    =溶血性貧血で高値を示すのは、溶血により赤血球からLDHが漏れ出るため
  • 激しい運動をすると上昇することがある
  • LDH/AST比を見ることで疾患をある程度推測することが可能
溶血で影響する項目(生化学)

LDHの基準値

項目基準値(単位:U/ℓ)基準値(単位:%)
LDH120~245
LDH124~7620.0~31.0
LDH235~9128.8~37.0
LDH326~6821.5~27.6
LDH48~306.3~12.4
LDH56~325.4~13.2

高値・低値で考えられること

LDH高値

急性肝炎、ウイルス性肝炎、肝硬変、心筋梗塞、筋ジストロフィー症、悪性腫瘍、白血病、がん転移、悪性リンパ腫、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血、肺梗塞

LDH低値

遺伝性Hサブユニット欠損症

〈疾患別のLDH上昇度&LDHアイソザイムの現れ方〉

LDH活性LDH1LDH2LDH3LDH4LDH5
心筋梗塞↑↑
巨赤芽球性貧血↑↑↑↑
溶血性貧血
筋ジストロフィー↑、→
クッシング症候群
甲状腺機能低下症
白血病↑↑
リンパ腫↑↑
膵炎
進行がん↑↑↑
肺梗塞
うっ血性心不全
ウイルス性肝炎↑↑
中毒性肝炎
肝硬変
尿毒症
多発性筋炎
参考:『異常値の出るメカニズム(第3版)』河合忠、屋形稔編集・医学書院

あまり知られてしませんが、LDH/AST比を出すことである程度疾患を推定できます。

LDH/AST比考えられる疾患
5以下急性肝炎、肝細胞がん
5前後心筋梗塞
5~15慢性筋疾患
10~20前立腺がん、間質性肺炎、ウイルス性感染症
15以上白血病、悪性リンパ腫、肺がん、胃がん、セミノーマなど
20~80溶血性貧血、巨赤芽球性貧血

〈疾患ごとの注目すべき検査項目〉

肝炎、肝がんALT
筋疾患CPK
心筋梗塞CPK、CKMB、H-FABP
白血病血液像
溶血性貧血ハプトグロビン、網状赤血球、ビリルビン
巨赤芽球性貧血(悪性貧血)ビタミンB12、葉酸、抗内因子抗体
間質性肺炎KL-6
腎梗塞クレアチニン、ALT

注意点

  • LDHは溶血によって上昇する。(溶血により「AST、K」も上昇)
  • 全血放置で上昇する。
  • 激しい運動時に上昇する。(検査の前日は運動を控える)
  • 新生児のLDHは成人の約2倍になる。その後減少し、思春期以降は成人の値になる。
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