
γ-GTPが高いってことはお酒が好きなのかな~。ALPと直接ビリルビンも高いな。何が考えられるんだろう?
こんな疑問を解決します。
こんにちは、臨床検査技師のユキフルです。
今回はγ-GTPについてみていきましょう。
この記事でわかること
- γ-GTPとはどんな検査項目なのか
- 基準値
- 高値・低値でわかること
目次
γ-GTPとはどんな検査項目?
目的 | アルコール性肝障害、胆管系、肝臓、膵臓疾患の検査 |
保存 | 4℃の血清保存で4週間安定 |
変動 | 運動や食事の影響を受けない 年齢、性別、飲酒歴が大きく影響 |
γ-GTP(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)は、蛋白質を分解する酵素の一種であり、またアミノ酸の生成に関わる酵素です。
腎臓に最も多い酵素ですが血清γ-GTPは主に肝由来なので、肝細胞の機能異常、そして特に胆汁分泌異常と肝細胞の小胞体機能異常を調べるために使われています。
また、飲酒により値が上昇するといった特徴があります。
〈γ-GTP、ALPの肝・胆道での流れ〉

その他のγ-GTPのポイント
- 他の肝胆道系検査は正常でγ-GTPのみが高値の場合は、アルコール性肝障害か膵臓の病気(膵炎、膵癌)を考える。
ASTやALTも高値の場合は、アルコール性肝障害の他に肝臓の病気が疑われる - アルコール性肝障害で値が上昇している場合、禁酒のより急激に低下する(禁酒2週間でγ-GTPは1/2に減少)
- 最近アルコールとは無関係に、過剰栄養状態や肥満によってγ-GTPやALTが上昇する非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎という病気が増えている
γ-GTPの基準値
γーGTP | 基準値 |
---|---|
男性 | 70以下(U/ℓ) |
女性 | 30以下(U/ℓ) |
高値・低値で考えられること
γ-GTP高値
アルコール性肝障害、急性肝炎、肝外胆管閉塞、肝内胆汁うっ滞、肝硬変、慢性活動性肝炎、慢性非活動性肝炎、薬剤性肝障害、原発性肝癌、胆管細胞癌、転移性肝癌、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎
γ-GTP低値
先天性低γ-GTP血症、高グルタチオン血症、高グルタチオン尿症、妊娠時の胆汁うっ滞性黄疸
〈他検査との関わり〉
アルコールや薬剤による肝障害時 | γ-GTPはその他の胆道系酵素よりも著しく上昇 |
---|---|
肝臓・胆道疾患時 | ALPやLAPと並行して変動 |
肝内の胆管のみの閉塞 | γ-GTP、ALPが上昇(黄疸みられない) |
肝外の総胆管が閉塞 | γ-GTP、ALPが上昇、直接ビリルビンも上昇(黄疸みられる) |
- アルコール性肝障害:500以上を示す
- ウイルス性肝炎・急性肝炎:AST、ALTが1000以上でもγ-GTPは正常ないし軽度上昇にとどまる
- 慢性肝炎:300以下で推移
- 〈肝内胆汁うっ滞〉
急性胆汁うっ滞性肝炎、薬剤起因性肝障害、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎:100~1000以上になる - 〈肝外胆汁うっ滞〉
閉塞性黄疸:100~1000以上になる - 肝細胞癌:50~500に留まる
- 胆管細胞癌:100~1000(肝細胞癌より高値を示す)
- 転移性肝癌:50~1000まで上昇
〈アルコール性肝障害〉
禁酒して検査値が改善していればアルコール性肝障害の可能性が高い。
そうでなければアルコール以外の肝障害が考えられる。
〈肝内・肝外の閉塞による生化学検査データ〉

肝内胆管のみ結石などで閉塞した場合
ALP、γ-GTPが上昇する(直接ビリルビンは上昇しない)
黄疸は認められない⇒肝内胆管の一部の閉塞であれば、閉塞していない方の胆管からビリルビンを排泄できるため

肝外の総胆管が結石などで閉塞した場合
ALP、γ-GTP、直接ビリルビンが上昇する
黄疸あり⇒総胆管が塞がれてると直接ビリルビンが排泄できないため
ALP、γ-GTPと共に黄疸を伴えば肝外胆管の閉塞が考えられる
注意点
- 一部の薬剤で上昇する。(例:抗痙攣薬、向精神薬、抗てんかん薬、睡眠薬)
- アルコールを飲むと高値にでるので、検査前日はアルコールは控える。
コメント